
秋の土用の丑の日に、何を食べるか — 秋に言われているのは、丑ではなく辰の日
2026年の秋の土用の丑の日は10月30日。ただ、秋の土用で食べるとよいとされているのは、丑の日ではありません。土用が年に4回あることと、季節ごとに割り当てられた十二支の話です。
2026年10月30日は、秋の土用の丑の日です。
うなぎを思い浮かべた方が多いと思います。ただ、秋の土用について調べていくと、少し話がずれていきます。
土用は、年に4回ある
土用は夏だけのものではありません。日本気象協会によれば、立春・立夏・立秋・立冬の前に、それぞれ約18日間ずつあります。年に4回です。
由来は五行思想。あらゆるものは木・火・土・金・水からなるという考え方で、春を木、夏を火、秋を金、冬を水に当てると、「土」が余ります。その土を、それぞれの季節の終わりに割り当てたものが土用だと説明されています。
季節と季節のあいだにある、名前のついた期間ということになります。
季節ごとに、割り当てられた十二支が違う
ここが、あまり知られていないところだと思います。
春の土用は戌の日、夏の土用は丑の日、秋の土用は辰の日、冬の土用は未の日。それぞれの日に、その頭文字がつくものと、決まった色のものを食べるとよいとされています。
春の戌の日には「い」のつくもの、たとえばいちごやいわし。そして白いもの。夏の丑の日には「う」のつくもの、うなぎや梅干し。そして黒いもの。秋の辰の日には「た」のつくものと、青いもの。冬の未の日には「ひ」のつくもの、ひじきなど。そして赤いもの。
夏の「う」だけが広く知られていますが、四季それぞれに別の文字が割り当てられています。
なぜ、その干支なのか
日本気象協会は、こう説明しています。干支で12か月を割り当てたとき、各季節の土用にあたる干支とは反対の干支をとっている。反対をとるのは、五行思想の概念だと。
暑い盛りに冬の側の干支を、涼しくなる頃に夏の側の干支を持ってくる。季節の折り返しに、逆のものを置いて釣り合いをとる考え方です。
土用そのものが「余った土」を四季の切れ目に当てたものでした。その切れ目に、さらに反対のものを置く。整った理屈だと思います。
秋は「た」のつくものと、青いもの
秋の土用の辰の日に食べるとよいとされているのは、「た」のつく食べものです。玉ねぎ、大根、たけのこ、たこ。そして青い食べもの。さんま、さば、いわし。
並べてみると、秋に出回るものと素直に重なります。大根は冬に向けて甘くなり、さんまは秋に脂がのる。無理に探さなくても、その季節に手に入るものが並んでいます。
行事食は、遠くから取り寄せるためのものではなく、そのとき手元にあるものを食べる口実だったのだろうと思います。
うなぎは、夏の話
土用の丑の日にうなぎを食べる習慣は、江戸時代に平賀源内が発案したという説が有力だとされています。
つまり、うなぎと結びついているのは夏の土用の丑の日です。秋にも丑の日は巡ってきますが、秋の土用で言われているのは辰の日のほう。うなぎを食べてはいけないという話ではありませんが、「秋の土用だからうなぎ」という筋道は、もともと無かったことになります。
2026年の秋の土用
秋の土用は10月20日から11月6日まで。この期間のうち、丑の日が10月30日、辰の日が10月21日と11月2日です。
10月30日にうなぎを食べるのも、10月21日や11月2日に大根やさんまを食べるのも、どちらも間違いではありません。ただ、由来をたどるとこう分かれている、という話です。
季節の切れ目に、何かを食べる
土用は、季節と季節のあいだの18日間です。暑さが残る中に秋が入ってくる時期、あるいは寒さが始まる直前。体調を崩しやすい頃合いに、決まったものを食べる習慣が置かれています。
「た」のつくもの。青いもの。条件はゆるくて、玉ねぎでも大根でもさんまでも構わない。何を食べるかより、季節の変わり目に何か食べる日を作っておくこと自体に意味があったのかもしれません。
今年の秋の土用は、11月6日まで続きます。
※ 本記事はまちもぐ運営事務局が制作しています。土用の由来・四季の十二支と食べものに関する記述は、日本気象協会が公表している情報に基づいています。



